嬉しいご報告ですが、こんなお話からはじめます。
2021年、まめまめびーるはSNSで批判を受けました。
すべて小豆島産の原料で醸したSHODOSHIMA100がようやくでき、お披露目をした直後のできごとでした。
まめまめびーるはワーストだ、色も味もだめ、奇妙な飲み物を作り続けている、高すぎる…云々。
めちゃくちゃショックでした。
その投稿は、僕も見れました。
1人批判する人が現れると、芋づる式に批判されるんじゃないか。怖さもありましたが、しっかり見ておこうと思い、その投稿をおいかけました(現在は削除されています)。
しかし、その投稿に反応されている方々のコメントは、逆でした。
まめまめを守ってくださるようなコメントが相次ぎました。「まめまめさんおいしいっていう方いっぱいいますけど」「それは趣味嗜好の話しなんでおいしくないっておかしいんじゃない?」など。他にも、「気にするな」と優しいことばをたくさん頂きました。
ショックと感謝とで、もうなんだかよくわからない心境になりました。
本当は言い返したかった。でも自分でおいしいと言ったところで説得力はない、僕は論争も弱いし、好きじゃない。まめまめびーるを応援してくださる方々に、おいしさを証明できる、わかりやすい「形」はないだろうか?と考えました。
ビールの賞をとろう。
これが始まりでした。
ビールのコンペというのはたくさん存在します。その中でも、インターナショナルビアカップという大会は、世界的にレベルが高く難しい審査会だということは知っていました。
ビアスタイルガイドラインというビアスタイル122項目にそって、それぞれで金銀銅があたえられます。
金:世界一流のビール
銀:卓越したビール
銅:優れたビール
という基準で、銅でも入賞すればすごい大会です。この基準に値するビールがなければ、金賞なしということもあります。
それまで賞には全く興味がなかったわたしですが、そんなことがきっかけで、この年に初めて何種類か出品しました。
しかし結果は、入賞「0」。
さらにショックになってしまう結果に。
これでは何も言えない。もしかしたら自分がおいしいと思ってるだけなのかも…。自信がなくなっていき、ふさぎ込んでいきました。1年に1回しかない世界大会なので、次は1年後。結構引きずっていました。
コロナ禍となった前年から、時間に余裕ができたこともあり「ビールの技術をもっと磨いていこう!」と、苦手な項目の練習や、原料の研究を重ねていた最中だったので、尚更ショックでした。
とにかく、賞をとるまでやってみよう、改善できることは全てしよう!そう決意。
まずは、「受賞しているビールを研究してみよう」と思い、片っ端からビールを通販で購入。何がどう良いのか、ビアスタイルガイドラインに照らし合わせながら、自分なりに言語化して、麦芽・ホップ・酵母はあれか?など書き留めながら。この研究がとても面白くて、またどんどんクラフトの世界にのめり込んでいったのはいうまでもありません。おもしろすぎて、もっともっといろんなビールを飲みたい!願望がでてきました。
けれども、普段から1人で醸造所をやってきたので、なかなか島外に出られる機会がない。
そこで、いつも週末だけ営業しているきまぐれびーる屋台にきてくださる常連さん達に、旅行や出張で島外に行かれる際、その土地のビール買って来てもらったらいいんじゃないか、と思いつきました。
そこから買って来てくれた全国各地のビールを、常連さんみんなで楽しく飲み比べる文化ができてきました。特に三重県出身の女の子は、地元に帰る度にたくさん買ってきてくれました(ありがとう!)。賞をとりまくっている日本を代表する三重のブルワリー、伊勢角屋麦酒さんのビールは毎回めちゃくちゃ参考にさせてもらいました。
この屋台での時間はとても有意義で、お客さんの趣味嗜好も知ることができました。「もうちょっとこうしたら、あーしたら」という気づきもたくさん生れました。一人で考え込んでるより、みんなの意見感想を言ってもらえるのは近道だな!そう感じました。
しかし屋台の方々は本当に率直。「これあかん!」とか「前の方がよかった」とかすぐ言わはるんで、結構そん時々でくらいます(苦笑)。でも率直に意見をくださる人がすぐそばに居ることは、幸せなこと。
屋台のみなさん、いつも本当にありがとうございます。心から愛しています!
こんな場面を見るといつも思い出す開業当初の師匠の言葉があります。
「中田君のビールは60点。あとの40点は島のみなさんが一緒にうめていってあげてください」レセプションで大勢の前ではなたれた師匠の言葉。「みんなの前で60点とか言わないで~」と心の中で思っていましたが、僕のビールは島の方々に成長させてもらっていると心底思います。島だけじゃなく、島外からも数多くの応援してくださる方がいます。応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。
そしてもう1人、ビールに対して率直な意見もアドバイスもくれる大きな存在、最高の友人がいます。センゲストハウスのマット先生です。コロナ禍から彼と一緒にビールを造り、考え、指摘し合うようになりました。自分では辿り着けない海外の最新情報もたくさん教えてくれます。彼がタンクの入れ替えを手伝ってくれたり、水質をチェックするキットがあるんだ!と教えてくれたり。彼がいなければ、ここまで向上できなかったと思います。
Special thanks!
他にも、島外の研修にも足を運んだり、ひたむきにビールのことだけを考えて1年。
お客さんの反応が変わってきた感がありました。「おいかったです」「群を抜いてます」と言ってくださる方もでてきて、「まめまめは日本一です」とまで言ってくださる方も。良い方向にむかっている実感が湧いてきました。
そして迎えた2022年の大会。
あかまめまめ(銅)
みどりまめまめ(銀)
2つの賞がとれました。
めちゃくちゃ嬉しかった。
銅でも品質の良いビールが最低限造れている証明にはなると思っていたので、これでもういいかとも思ったのですが、ここまできたらやっぱり金が欲しい!ちょっと意地になってきたんです。
家に帰ると子供たちの習字や絵の金賞が飾られていて、それを見ると、「お父さんもやはり金をとって良いとこみせたい!」と思うようになりました。
そんなある日、愛媛のブルワリーDD4Dさんがコラボ醸造しようと誘ってくれました。いつも金賞をよく獲られているDD4Dさん、一緒につくれるなんて夢みたい!とワクワクしながら愛媛まで。彼らの作業はとても丁寧で知識深い。一緒に造っていて、「これが金賞を獲れるビール造りか!」と思わざるを得ませんでした。
クラフトビールの業界は、聞けばレシピまで見せてくださるほど、みなさんオープンで、惜しみなく技術や情報を教え合うとても風通しのよい業界。DD4Dさんも例外ではありませんでした。DD4Dのみなさん、本当にありがとうございました、また一緒にコラボしてください!他にもいろんなことを教えてくださったブルワリーのみなさん、本当にありがとうございました!
そんなこんなで、新たな情報や知識を得る度に変えられるところは変えて、毎仕込みもっと丁寧にできる方法はないか?と考えながら仕込みを重ねてきました。「もうこれ以上はこの設備では無理だな」と思うところまでやりました。
そして迎えた今年2023、お願い金をください!!
と祈りながらのエントリー。
今年はきっといけると信じてはいましたが、全く獲れない可能性もあって。ドキドキドキドキドキしながら結果発表を。
妻と2人で一緒に見ていきました。抱き合いました。妻はいつもそばで辛口な意見でいて、でもおいしい時はちゃんと言ってくれる。「嗚呼醗酵だけ獲れたらいいわ」なんて言うてましたが、結果は
金:嗚呼醗酵としろまめまめ
銀:ヒリヒリブラック
銅:嗚呼醗酵2023年
見事2つ金賞受賞!しかも嗚呼醗酵の方はカテゴリーチャンピオンも!
まじで嬉しかった。これで一流といえるレッテルはもらえた。
これで島の方々にも「ちゃんとおいしいビール造ってるよあそこは」って胸を張って言っていただける証拠ができたんだと。少なくとも一流のビールが造れる造り方ができているんだと。
あの時、批判され、みなさんが応援してくれて、本当に良かった。
もう迷いはありません。
まめまめびーるはめっちゃおいしいです!
とても長くなってしまいましたすみません。応援してくださるみなさんに御礼が言いたかっただけです!もう賞をとりに行くのはやめようかな。毎年心臓に悪い・・
今週末、三連休の最後の日に、受賞したビールをきまぐれびーる屋台につなごうと思います。
ボトル部門で受賞したあかとみどりはボトルで、
ケグ部門で受賞したビールはケグで
(嗚呼醗酵だけ金賞のボトルがもうないので、ケグで繋ぎます。)
嗚呼醗酵としろまめまめ押しのみなさん、「やっぱり俺、私の舌は一流やったか」いうてください。ヒリヒリブラックとみどりまめまめ押しのみなさん、「やっぱり俺、私の舌は卓越してるんやで」いうてください。あかまめまめ押しのみなさん「やっぱり俺、私の舌は優れている」いうてください。みなさんの、どや顔がみたい。どうぞどやどやしてください(笑)
そして、祝いに僕におごりにきてくださいませ(これ一番言いたかったこと(笑))
本当にみなさまのおかげでとれた賞です。
ありがとうございました!
これからも末永くよろしくお願い致します。
NO BEER NO LIFE
乾杯!!!
2023年10月3日
まめまめびーる
中田雅也

画像提供)まめまめよりまめな、きたのさん